個別株投資 必ず押さえる6つの指標 その①

今回はシリーズ記事として、個別銘柄に投資する際、最低限押さえるべき6つの指標について書いていきたいと思います。大部分は投資初心者向けになると思いますが、シリーズの最後には実際に私が銘柄分析をする際のやり方も紹介していますので、初心者以外の方も参考にして頂けたら嬉しいです。
株価の割安/高感を示す指標
PER(株価収益率)
一つ目はPER(株価収益率)です。PERとは株価の割安/高感を示す指標で、お買い得な銘柄を探すための参考値になります。PERは ”株価÷一株あたり純利益” という計算式で割り出され、PERが高いほど株価が割高、低いほど割安と判断されます。
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計算式を言われてもよくわからないですよね。架空のパン屋さんであるきよさりベーカリーとまろんベーカリーを例に考えてみましょう。きよさりベーカリーの株価は1,000円、まろんベーカリーの株価は2,000円とします。一方で、一株あたり純利益は両社とも同じ100円としましょう。この場合両社のPERは下表の通りで、きよさりベーカリーの方低く、お買い得な銘柄であることがわかります。生み出している利益は変わらないのに、きよさりベーカリーの方が株価が安いため、まろんベーカリーよりも割安と判断されるわけです。より身近なケースで例えるなら、あなたがサラリーマンで、同期のAさんと全く同じ営業成績なのに、Aさんの方が給料が高かったら、自分の成果が過小評価されていると感じますよね。ここでいう営業成績が一株当たり純利益で、給料が株価にあたるわけです。このように、PERは純利益をベースに今の株価(=株式市場における会社の評価)が適正なのかどうかを計る指標となっています。

PBR(株価純資産倍率)
PBRもPERと同じく、株価の割安/高感を推しはかる指標です。PERは純利益を基に割安/高感を判断しますが、PBRは純資産を基に株価の適正感を計ります。PBRは ”株価÷一株あたり純資産” という計算式で割り出され、PBRが1倍を下回っていると、株価が割安であると考えられます。
さっきはPERで今度はPBR、PERは純利益でPBRは純資産・・・。

こちらもわかりにくいので、きよさりベーカリーと、まろんベーカリーを例に解説します。先ほどと同じく、きよさりベーカリーの株価は1,000円、まろんベーカリーの株価は2,000円です。一株あたり純資産は両社とも同じ2,000円とします。この場合両社のPBRは下表の通り。両者とも同じ純資産を持っているのに、まろんベーカリーの方が株価が高いので、きよさりベーカリーの方がお買い得であると判断することができます。他の条件が同じであれば、よりお金をたくさんを持っている会社の方が評価が高いというのは当然のことですよね。このように、PBRは純資産を基に株価の適正感を計る指標なのです。ちなみに日本では、2023年3月に東京証券取引所が、低PBR(=PBR1倍割れ)の上場企業に対して改善策の開示・実行を要請したことが話題になりました。日本の上場企業は海外と比べてPBRが低いことが長年問題視されていたため、東証が対策に乗り出したという訳です。これを受けて、日本の上場企業のPBR改善に向けた取り組みは活発化し、投資家のPBRに対する注目度も高まる背景の一つとなりました。

PERとPBRに関する注意点
ここまでPERとPBRという二つの指標について解説してきました。二つとも株価の割安/高感を示す指標ですが、1つ注意しておかなければならないことがあります。PERもPBRもあくまで、それぞれ純利益と純資産という切り口から株価の割安/高感を示している指標であり、この二つの指標だけでその株が今買い時なのかどうかを判断することはできないということです。なぜなら、株価を左右する要因は純利益や純資産だけではないからです。例えば、これまでのきよさりベーカリーとまろんベーカリーの例では、きよさりベーカリの方がまろんベーカリーよりも株価が割安であると判断されてきました。しかし、その後詳しく両社について調べてみたところ、まろんベーカリーは2店舗目を出店するための設備投資をしていることが分かりました。投資家たちはより積極的に事業拡大を目指すまろんベーカリーを高く評価しているため、まろんベーカリーの株価の方が高くなっているようです。この場合、確かに現在のきよさりベーカリーの株はお買い得かもしれませんが、まろんベーカリーの方が中長期に渡って継続的に株価を伸ばしていく可能性がありますよね。
まとめ
本記事では株価の割安/高感を示す指標としてPERとPBRについて書きました。最後にも書いたように、PERとPBRは他の指標や情報と合わせて考慮しなければ、ミスリードしてしまいます。続くシリーズ記事では、他にも合わせて押さえておくべき指標について書いていきます。今回紹介したPERやPBRと合わせて理解することで、個別株投資への理解をより深めることができるかと思いますので、興味のある方はぜひ続けて読んで頂けたら嬉しいです!
