重要な進展なし?暗号資産サミット

日本時間3/8(土)未明にホワイトハウスにて、暗号資産サミットが開催されました。これはトランプ大統領と暗号資産/AI分野の政策責任者であるデイヴィッド・サックスさん主催する会議で、業界の主要な関係者を集めて行われました。前日には仮想通貨備蓄の大統領令に署名をしたことも非常に注目が集まりましたが、当日は何が話し合われたのか?実際にサミット全編を視聴したきよさりが、サミットの要旨と考察を共有していきたいと思います。
暗号資産サミット要旨
- 日本時間3/8(土)未明に開催、報道されたのは約30分間
- トランプ大統領の発言
- バイデン政権で行われた業界に対する取り締まりをやめることを改めて約束
- 8月までにステーブルコイン法案に署名し金融改革を推進する
- ビットコインを大量売却してきた過去を批判、今後売らずに保有し続けると強調
- その他の参加者の発言
- FIFA会長ジャンニ・インファンティーノさんが仮想通貨「FIFAコイン」の発行計画を発表。2026年FIFAワールドカップ(マイアミで開催予定)に向けたホワイトハウスタスクフォースの設立と2025年の公式トロフィーの披露も行われた。
- その他の参加者から特筆すべき発言はなく、押しなべてトランプ大統領の仮想通貨市場への前向きな姿勢に感謝の意を述べるに留まった
考察
以上のサミット会議要旨をうけて、ここからは私の考察を共有していきたいと思います。私がこのサミットを見て思ったことは以下の通りです。
短期的な爆上げ材料はなかったが、ポジティブに捉えてOK
残念ながら、今回トランプ大統領が語ったことの殆どは(バイデン政権下で行われてきた厳しい取り締まりをやめることや、ビットコインを売らずに保有し続けることなど)、サミット前にも表明していたことを、改めて強調するもおのでした。その結果、このサミットで新たな爆上げ材料(例えばアメリカ政府によるビットコイン追加取得の方針に関するアップデートなど)が出ることを期待していたマーケットは失望し、サミット終盤に多くの仮想通貨の価格が下落しました。ここで私が強調しておきたいのは、サミットで価格が下落した理由は、あくまでマーケットの過度な期待によるものだということです。前段の要旨を冷静に読み返せば、今回のサミットに一切ネガティブな材料などなかったことは明らかです。仮想通貨に吹き始めている追い風は、今後更に力強くなるであろうと改めて確信できる内容だったので、サミット後の価格の下落を受けて過度に心配したりする必要は全くないと思います。多くのメディアでサミットは空振りとか、期待外れとか書かれていますが、それはマーケットの期待が先行しすぎただけであり、中長期的にポジティブな内容であったと捉えて全く問題ありません。
XRPに対するSECの訴訟取り下げに更なる期待
今回のサミットでトランプ大統領は、バイデン政権で行われてきた仮想通貨業界への厳しい取り締まりを終わらせることを、改めて約束してくれました。実際ゲンスラーさんを解任して以来、SECの仮想通貨業界に対する態度の変化は著しく、コインベースを始めとする仮想通貨関連企業への訴訟を次々に取り下げたり、ミームコインは証券ではないと明言するなど、これらの行動はトランプ大統領のサミットでの発言ともしっかり整合しています。このことから、SECはゲンスラーさんが最後の悪あがきで残していった、XRPに対する訴訟も近いうちに取り下げる可能性が高いと思っています。他にもこれまでに申請されている数々のETFの多くも、承認される可能性があります。ただし、これは余談ですが、個人的にはXRPやソラナ、ドージなどのETFが出来てもあまり価格にポジティブな影響はないと踏んでいます。詳しく知りたい方は以下の記事を読んでみてください。

Defi、送金関連の銘柄に注目
今回のサミットで出た数少ない新情報は二つありました。一つはFIFAコインでこれは正直私はあまり興味がありません・・・。取り上げたいのは二つ目で、それは8月までにステーブルコイン法案に署名したいというトランプ大統領の意向です。トランプ大統領は仮想通貨のテクノロジーを使って金融改革を推進したいのだと思っています。トランプ大統領が抱えている大きな経済的課題といえば、アメリカ政府の巨額の借金です。アメリカ政府の債務はこの十年で倍に膨らんでおり、2024年末時点で約35兆ドルです。この借金をどうにかするために、D.O.G.E(政府効率化省)を設立して政府職員のクビを切りまくってどうにかコスト削減を図っているわけですが、ステーブルコインを使った金融改革もこの借金返済計画の一部として推進していく可能性があります。なぜなら、一般的に普及している現在の伝統的な金融オペレーションには多くの無駄が存在しているからです。以下の図は既存の伝統的な国際送金システムを使って、日本からタイに送金する際のお金の流れを例示しています(あくまで一例で、実際はケースバイケースです)。一度国際送金をしたことがある人ならわかると思いますが、伝統的な国際送金システムでは想像以上に時間とお金がかかります。私は以前外国に住んでいたことがありますが、外国口座から日本の口座に送金するだけで数千円の手数料がかかり、送金完了するまでに1週間弱もかかりました・・・。それはなぜかというと、異国間でお金をやり取りするには、以下の図が示すように、裏でたくさんの金融機関が関わっているからです。ここに仮想通貨の技術を用いることで、国際送金したい人たちをダイレクトにつなげることができるので、国際送金のコストや利便性を改善することができるはずです。この他にもトランプ大統領が関わっているDefiプロジェクトのWorld Liberty Financial(ワールド・リバティ・ファイナンシャル)がイーサリアムを始めとするDefi関連銘柄を爆買いしていることからも、仮想通貨を使った金融改革をトランプ大統領が推進していく可能性が高いと思われます。このような文脈から、私はイーサリアムやXRPを始めとするDefi、送金関連の銘柄に注目しています。

まとめ
本記事では、暗号資産サミットの要旨と私の考察について書いてきました。事前の期待感が強すぎたため、拍子抜けという印象を持たれた人が多いと思いますが、内容は明らかにポジティブでした。サミット後の価格の下落を見て、この先の仮想通貨相場に不安を感じている人がいたら、この記事が安心材料になると嬉しいなと思います。このブログでは投資や資産形成に有益な情報やノウハウ、おすすめ書籍も紹介していますので、是非色々見ていってくれたらうれしいです!
